任意整理 できないケースを徹底解説|該当条件・原因と現実的な代替策をわかりやすく解説

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任意整理 できないケースを徹底解説|該当条件・原因と現実的な代替策をわかりやすく解説

破産宣告相談弁護士事務所

この記事を読むことで分かるメリットと結論

結論:任意整理が「できないケース」はいくつか種類があり、該当するかどうかで次に取るべき手段が変わります。この記事を読めば、自分が任意整理できるかどうかの見極め方、なぜ断られるのかの理由、代替案(自己破産・個人再生・特定調停など)の使い分け、弁護士や司法書士に相談するときの準備リストと費用感まで、一通りイメージできます。これにより専門家へ無駄なく相談でき、より早く現実的な解決策へ進めます。



1. 任意整理の基本と「できないケース」の全体像 — まずここを押さえよう

任意整理とは何か?目的は何?という基本を押さえると、「できないケース」がなぜ問題なのかが分かります。任意整理は、債権者(カード会社や消費者金融、銀行)と話し合って、将来の利息カットや返済スケジュールの見直しを図る私的な債務整理手法です。裁判所を通さずに和解を目指すため、柔軟で手続きも比較的簡単というメリットがあります。一方で、任意整理の基本原則は「債権者の同意」が前提。ここがポイントで、債権者が同意しない、あるいはそもそも任意整理の対象になりにくい債務があると「任意整理 できないケース」が生じます。

任意整理の対象となりやすいのは、消費者金融(例:アコム、アイフル、プロミス)やクレジットカードのリボ払い、銀行カードローン(例:三菱UFJ銀行カードローン、みずほ銀行カードローン、三井住友銀行カードローン)など「無担保・個人向けの借入」です。反対に担保付き債務や税金、社会保険料、振込差押え・既に確定判決が出ている債務などは任意整理では解決しづらいケースが多い、と覚えておきましょう。

「できないケース」が発生すると、債権者からの取り立て継続や、差押え・強制執行リスク、連帯保証人へ請求が及ぶなどの二次的な問題が生じます。まずはどの債務が任意整理の対象になるか一覧化し、専門家(弁護士・司法書士)と相談して現実的なルートを決めるのが先決です。以下で代表的なケースを具体例とともに深掘りします。

1-1. 任意整理とは何か?基本概念と目的

任意整理の目的は「返済可能な形へ現実的に落とす」こと。典型的には将来発生する利息(未払い利息や将来利息)をカットし、残る元本を分割で支払っていく和解を目指します。裁判手続きに比べると期間は短く、費用も抑えられる場合が多い点がメリット。ただし、和解が成立しても履行が滞れば信用情報に「異動」として登録され、5年程度の信用回復期間が必要になる点に注意です(信用情報機関による規定は機関ごとに異なります)。

私見ですが、任意整理は「生活再建のための『第一歩』」として有効です。僕自身、知人の初回相談に同席した経験がありますが、利息カットと返済期間延長で月々の負担がかなり軽くなり、家計が落ち着いた例を見ました。ただし、すべての債務が対象になるわけではないため、最初に対象・非対象の区分をはっきりさせることが重要です。

1-2. 任意整理の対象となる債務の特徴と範囲

任意整理の対象になりやすい債務:
- 消費者金融(アコム、アイフル、プロミスなど)のカードローン
- クレジットカードのリボ・キャッシング
- 銀行カードローン(三菱UFJ、みずほ、三井住友等)の無担保ローン
- フリーローンやキャッシングの個人向け借入

任意整理の対象になりにくい債務:
- 住宅ローンや自動車ローン(担保付き)
- 税金(国税・地方税)や社会保険料
- 罰金や過去の不法行為に起因する賠償金(一部)
- すでに確定判決があり強制執行が始まっている債務(状況によっては別ルート)

ここでのポイントは「担保があるか」「公的債務(税金等)か」「裁判判断が確定しているか」の3点です。担保があると債権者の保全権(抵当権や根抵当権、車の所有権留保など)が強く、任意で元本を減らす交渉のハードルが上がります。また、税金や社会保険料は国家機関が関与するため私的和解で完結しないことが多く、代替策を検討する必要があります。

1-3. 「できないケース」が生まれる主な理由

任意整理ができない・難しい理由には次のようなものがあります。
- 債務に担保が付いており、債権者側が担保処分で優先回収を図るため和解が困難。
- 債務が税金・健康保険料など公的債務で、行政側の回収手段が優先される。
- 既に訴訟や支払督促、強制執行(差押え・公売等)が進行している場合、手続き的に任意整理が使えないか非現実的。
- 債務者の収入・資産が低すぎて、債権者が期待できる回収が見込めない場合、債権者が和解を拒否するケース。
- 連帯保証人がついていると、債権者は保証人へ請求できるため、主債務者の任意整理に消極的になることがある。

以上の理由は、債権者の立場(回収可能性の最大化)に基づきます。実際の交渉では、債権者がどう評価するかが勝負どころです。だからこそ、弁護士や司法書士に代理交渉を任せると成功率が上がる場合が多いのです。

1-4. できないケースが生じたときの影響とは

任意整理ができないと、期待していた「利息カット」や「返済猶予」が得られないため、以下のような影響が現実化します。
- 返済負担が大きく、生活費や住宅ローンなど別の支払いに支障が出る。
- 取り立てや督促が継続し、精神的負担が増す。
- 連帯保証人へ請求が移り、人間関係に重大な影響が出る。
- 訴訟・差押えに発展すると資産が取り上げられる可能性がある。
- 信用情報に悪影響が残り、将来のローンやクレジット利用が制限される(目安:異動情報はCICやJICCで数年記録される)。

この影響を軽減するには、任意整理以外の選択肢(自己破産、個人再生、特定調停、分割交渉)を早めに検討し、専門家と戦略を立てることが重要です。

1-5. できないケースが発生した場合の全体的な流れ(次の選択肢へつながる導線)

1. 自分で債務一覧(借入先・残高・利率・返済額)を作る
2. 債務ごとに「任意整理可能か」を分類(無担保 vs 担保、税金等)
3. 任意整理が難しい債務は代替策へ振り分け(自己破産、個人再生、特定調停)
4. 弁護士・司法書士に初回相談(現状の説明、戦略提示)
5. 交渉・手続き実行(任意整理:和解交渉/自己破産:申立て/個人再生:再生計画作成)
6. 信用情報の影響管理・再建プラン実行

個人的な意見ですが、最初の「債務一覧作り」でどれだけ正確に情報を出せるかが解決の速度を左右します。借入先を正確に列挙して、その特徴(担保有無・保証人有無・訴訟の有無)をチェックしましょう。

2. 具体的な「できないケース」の代表例と深掘り

ここでは具体例を挙げ、なぜ任意整理が難しいのか、その際の現実的な対応法もあわせて示します。各項目は実務でよく相談されるケースです。

2-1. 連帯保証人がいる場合の影響と留意点

連帯保証人がいると、債権者は連帯保証人へ直接請求できます。任意整理で主債務者の返済条件を緩めても、連帯保証人がいる場合は債権者が保証人に請求することを選ぶため、債権者が任意整理に消極的になることが多いです。たとえばカードローンで親が連帯保証人になっているケースでは、債権者は親にも支払い責任があるため、主債務者だけの和解を認めない可能性があります。

実務上の対応:
- 連帯保証人の同意を求める交渉(現実的には難しい)
- 連帯保証人を守るため、自己破産や個人再生を検討(ただし連帯保証人保護は完全ではない)
- 債権者との個別交渉で保証人に影響しない別解(分割や猶予)を模索する

私の体験では、あるケースで連帯保証人が親だったため債権者側が和解に消極的になり、最終的に個人再生で住宅ローンを残す形に落ち着きました。連帯保証人がいる場合は任意整理単独での解決は難航することが多い点を覚えておいてください。

2-2. 担保付き債務(住宅ローン・自動車ローンなど)の扱い

担保付き債務は、貸し手が担保の処分で優先的に回収できるため、任意整理では基本的に対象外です。住宅ローンなら家に抵当権が設定されており、任意整理でローンを大幅に減らすことはまず期待できません。自動車ローンは所有権留保がある場合、返済を止めると引き上げられるリスクがあります。

現実的な代替案:
- 住宅ローン:リスケ(返済条件変更)、住宅ローン特則付き個人再生(住宅ローン特則を使えば住宅を残しつつ他の債務を圧縮可能)
- 自動車ローン:ローンを清算して車を手放す、もしくは車を売却して債務圧縮
- 担保放棄を伴う和解(債権者が担保を取って回収する代わりに元本を免除するケースも稀にある)

担保付き債務がある場合、任意整理を検討してもまずは「担保をどうするか」の協議から始まることが多いです。債務全体を整理するには個人再生や自己破産の方が現実的なことがあります。

2-3. 税金・社会保険料の滞納があるケース

税金や社会保険料は、国や自治体が債権者となる「公的債務」です。任意整理の対象にならないか、債権者側(税務署・市区町村)と任意で和解できるかどうかはケースバイケースですが、一般的に私的な任意整理で消滅することは難しいです。税金は差押え権が強く、自治体は法的手続きを用いて期限後に徴収するケースが多いです。

対処法:
- 税務署・役所と分納交渉(分割納付の申し出)
- 納税猶予や猶予申請(事情により認められる場合あり)
- どうしても困難なら自己破産で免責が認められる税目・期間の条件を確認(ただし最近の税は免責されにくい場合あり)

私の知り合いで税金滞納がある方は、まず市区町村の窓口で分納計画を立て、その上で他の私的債務を弁護士に任せることで生活再建できた例があります。税金は民間債権と比べて回収力が強いため早めに役所に相談することを勧めます。

2-4. 訴訟・支払督促が進行中のケース

すでに訴訟や支払督促(訴訟外の簡易な督促手続き)が進んでいる場合、任意整理が現実的ではないことがあります。特に判決が確定して強制執行(差押え等)が始まっている場合、債権者は強制執行によって回収を図るため、任意整理での和解まで手続きが進む可能性は低くなります。

対処法:
- 訴訟段階でも、判決確定前であれば和解交渉は可能(弁護士が介入して和解で終わるケースあり)
- 既に差押えが行われている場合は、差押え解除交渉または自己破産等の手段を検討
- 支払督促が来たら放置せず、期限内に異議申立てをすることで裁判へ移行させ交渉余地をつくる

実務では、裁判所を通す場合は「和解条項」を入れることで強制執行を回避する交渉が成立する例もあります。放置が最悪の結果を招くため、督促や書類が来たらすぐ専門家へ相談しましょう。

2-5. 高額・複数債務での実務的難易度のケース

借入金額が非常に大きい場合や債権者が多数存在する場合、任意整理で全債権者と個別に和解するのは実務的に難しいことがあります。たとえば複数の消費者金融・複数のクレジットカード・銀行ローンが混在していると、和解条件の調整が複雑になり、債権者の反応もまちまちです。

対応方針:
- 債務総額・収入・生活費を洗い出し、優先順位をつける(担保や保証人の有無で優先度を決定)
- 債権者が多数の場合は、個人再生でまとめて整理する方が合理的な場合が多い
- 任意整理でも「選択的整理」(特に負担の大きい債務だけを対象に)という手法がある

私の経験では、債権者が10社以上あるケースは任意整理より再生手続きが早く、現実的に完了しやすいことが多かったです。多数債権者の場合は、まず専門家と戦略を練るのが得策です。

3. できないケースへ対処する代替案 — 次に取るべき現実的な手段

任意整理が難しい場合、以下の代替手段が考えられます。それぞれの特徴、メリット・デメリット、適用条件をわかりやすくまとめます。

3-1. 自己破産の適用条件とデメリット・メリット

自己破産は、支払い不能状態(継続的に支払う見込みがない状態)がある場合に、裁判所を通じて債務の免除(免責)を受けられる手続きです。メリットは大幅な債務消滅が期待できること。しかしデメリットは財産(一定額以上の現金や不動産、車など)の処分が必要になること、一定期間職業制限がかかる職種があること(警備業・古物商など)、信用情報に重大な影響を及ぼすことです。

適用条件・ポイント:
- 支払不能であることを裁判所が認める必要がある
- 税金の一部や罰金等、一部債務は免責されない可能性がある(事案ごとに異なる)
- 財産が少ない場合は自己破産で速やかに再スタートが切れるケースが多い

自己破産は任意整理が不可能な担保付き債務や多数債務、差押えが進んだ場合の最終手段として検討されます。私の知人が自己破産で生活再建できた例では、申立てから免責確定まで半年程度かかりましたが、負担がゼロに近づいたことでその後の生活再建がスムーズになりました。

3-2. 個人再生(民事再生)との違いと適用ケース

個人再生(民事再生)は、住宅ローンを除く債務を一定割合(一般的に数十%)に圧縮し、返済計画を裁判所で認可してもらう手続きです。住宅ローン特則を使えば住宅を手放さずに手続きできる点が大きな特徴で、担保付き債務を持つ人や自営業者に向くことがあります。

メリット・デメリット:
- メリット:住宅を残しつつ債務圧縮が可能、任意整理より強制力があるため多数債権者にも適用
- デメリット:最低弁済額(最低支払額の基準)があり、一定の返済能力が必要。手続がやや複雑で費用もかかる。

個人再生は、家を残したい方や担保がある場合に検討される現実的な選択肢です。私が関わった事例では、自営業の方が事業借入と個人借入を分けて個人再生を使い、住宅ローンはそのままで他の債務を圧縮して再生計画を遂行できました。

3-3. 任意整理以外の交渉方法(債務の減額・利息カットの再提案など)

債権者と直接交渉して、任意整理以外の条件で取り組む方法もあります。具体例:
- 分割回数の増加(毎月の返済負担の軽減)
- 一時的な返済猶予(給与減少や病気で一時的に支払えない場合)
- 任意での利息カットや過払い金の精査(過去利息の過払いがあれば返還請求)

これらは任意整理ほどの法的強制力はありませんが、債権者との良好な関係を作れれば有効です。弁護士が介入することで交渉力が上がり、和解が成立するケースが増えます。

3-4. 税金・社会保険料の整理を別ルートで進める方法

税金や社会保険料は別ルートで対応する必要があります。主な方法:
- 分納申請:市区町村や税務署で分割納付を申請する
- 納税猶予・換価猶予の申し出(条件あり)
- 国税に関しては「国税通則法」に基づく手続きがあるため税務署と早期に相談

公的債務は自治体や税務署の対応により柔軟性が異なりますが、放置すると差押えが入るので、まずは窓口相談するのが有効です。

3-5. 専門家の相談を活用する利点と、相談窓口の選び方

専門家(弁護士・司法書士)に相談する利点:
- 債権者との交渉を代理してもらえる(精神的負担の軽減)
- 現状を精査して最適な法的選択肢を提示してくれる
- 書類作成や裁判所手続を代行してくれる

相談窓口の選び方:
- 任意整理・債務整理の経験が豊富な事務所を選ぶ
- 初回相談の費用と内容(無料の場合はどこまでやってくれるか)を確認
- 弁護士会や法テラスなど公的な窓口も活用する
- 口コミや実績(事案の類似性)を確認する

個人的には、まずは弁護士の初回相談(多くの事務所で無料や有料の短時間相談がある)で現状把握をしてから、実際に依頼するかどうか決めるとよいと思います。私も初回相談で現実的な選択肢が腹落ちして、すぐに行動に移せた経験があります。

4. 実務の進め方と準備物 — 初回相談で差がつく準備リスト

実際に動き出すときに必要な情報と準備、費用感、相談時の伝え方をまとめます。準備が整っているほど手続きが早く、適切な選択ができます。

4-1. 事前準備リスト(借入先・返済額・利率・現在の返済状況の整理)

まず以下の情報を一覧化してください。これは弁護士・司法書士に渡すと一気に話が進みます。
- 借入先名(例:アコム、アイフル、プロミス、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行等)
- 借入残高(現在の表示残高)
- 毎月の返済額・返済日
- 金利(契約書や明細に記載)
- 担保の有無・連帯保証人の有無
- 過去の延滞履歴や督促状の有無
- 訴訟・支払督促・差押えの有無
- 収入(給与明細・確定申告書等)と家計の概況

この一覧を作ると、弁護士は「任意整理でいけるか」「個人再生が良いか」「自己破産が必要か」を短時間で判断できます。私の経験上、これらが揃っていないと相談に時間がかかることが多いです。

4-2. 相談先の選び方:弁護士 vs 司法書士、専門家の役割

- 弁護士:訴訟・自己破産・個人再生・任意整理など、法的手続き全般、最も広い対応が可能。複雑案件(訴訟中、担保複雑、税金絡み等)は弁護士推奨。
- 司法書士(認定司法書士含む):簡易な任意整理や、訴訟を伴わない範囲での交渉・登記業務等を担当。借入額が140万円以下の司法書士の代理権制限に注意(民事執行法等の制約がある)。
- 法テラス:経済的に厳しい場合に法的支援や無料相談の入り口として活用可能。

相談する際は、事務所の得意分野(任意整理、自己破産、個人再生)を確認し、実績(事例数、同様案件の処理数)をチェックしてください。

4-3. 費用感と解決までの目安期間

費用と期間はケース・事務所によって大きく変わりますが、一般的な目安を示します(あくまで目安です)。
- 任意整理:弁護士着手金0~5万円/債権者、成功報酬2~5万円/債権者(合計で数十万円になることも)。期間:着手から和解まで3~6ヶ月程度が一般的。
- 個人再生:弁護士費用は30~80万円程度、裁判所費用別途。期間:6ヶ月~1年程度。
- 自己破産:弁護士費用は30~80万円程度、場合によってはもっと。期間:6ヶ月~1年程度。

これらは法律事務所の料金体系や難易度によって大きく変わります。費用の明示がある事務所を選び、支払計画についても確認してください。

(注)上記数値は複数の法律事務所の一般的な目安を参考にしたものです。具体的な金額は相談先で確認してください。

4-4. 初回相談時の伝え方・質問リスト

初回相談で聞くべきこと:
- 「私のケースで任意整理が可能か?」その理由
- 任意整理が無理ならどの選択肢を勧めるか(理由も)
- 費用の内訳(着手金・報酬・実費)
- 期間の目安
- 信用情報への影響(何年残るか)
- 連帯保証人や担保の扱いはどうなるか

事前に作った借入一覧を持参し、領収書や督促状、訴訟書類を全て持っていくと話が早いです。相談時間を有効に使うために、聞きたい問いを箇条書きにしておくのがコツです。

4-5. 信用情報(CIC/JICC/KSC)への影響と、回復までのロードマップ

任意整理や自己破産、個人再生を行うと、信用情報機関(CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センター=KSC等)に情報が登録されます。登録期間の目安は機関・事案によって異なりますが、任意整理に伴う「異動情報」は一般的に5年程度記録されるケースが多いです(機関によりルール差あり)。自己破産や個人再生も記録が残り、一定期間ローンやクレジットの利用が制限されます。

回復ロードマップ:
1. 債務整理後はまず信用情報の記録期間を確認(CIC/JICC/KSC等で照会)
2. 記録消滅後、クレジットカードの再申請やローンを段階的に行う(小額のクレジット履歴を積むのが効果的)
3. 収入の安定・貯蓄の蓄積が再審査での評価につながる

信用回復は時間の経過と安定した家計の積み重ねが必要です。焦らず計画的に再建を進めましょう。

4-6. 実務時の注意点(相手先の反応、交渉の進め方)

交渉時のヒント:
- 債権者は回収期待値で動く。現状の返済プランと収入・支出を誠実に示すことが有効。
- 債権者ごとに担当者・方針が異なるため、柔軟な提案(分割、猶予、担保処分の代替案等)を用意して交渉する。
- 弁護士が正式に介入すれば、督促は止まり、交渉へ移行しやすい。
- 銀行系と消費者金融で対応差がある。銀行系は厳格な内部ルールがある場合が多いが、和解事例もある。

私の観察では、債権者の窓口担当者は「一度に複数の資料を出されると検討しやすい」印象です。弁護士に任せるとこうした資料整理の手間が省け、交渉のスピードが上がります。

5. ケース別のシミュレーションとよくある質問

ここでは典型的なシチュエーションをいくつかシミュレーション形式で示し、よくある質問(FAQ)に答えます。自分の状況に近いケースを探して参考にしてください。

5-1. 複数カードローンがある場合の想定シミュレーション

ケース:
- Aさん:アコム残高50万円、アイフル残高80万円、プロミス残高70万円。毎月の支払いが合計で7万円。
想定戦略:
- 任意整理で利息カット&元本分割を図る(着手後督促停止)。各社と和解できれば月々の返済は大幅に下がる可能性あり。
- 債権者10社前後であれば任意整理は現実的。債権者が多すぎる場合は個人再生の方が効率的。

実際の結果は収入・生活費によって左右されますが、私が関わった類似ケースでは任意整理で月々の負担が半分近くになった例があります。

5-2. 事業資金と個人の債務を別々に整理するケース

ケース:
- Bさん:個人のカードローン200万円、事業用の借入500万円(事業収支が不安定)
想定戦略:
- 事業借入は法人借入か個人事業主借入かで対応が異なる。事業借入が事業に直結するなら事業再建プランと合わせた個人再生などを検討。
- 個人債務のみを任意整理し、事業側は取引先や金融機関と別途協議する選択もある。

事業資金が絡むと専門的な財務計画が必要です。税理士や中小企業診断士と連携するケースもあります。

5-3. 訴訟中に任意整理を申請できるかの現実性

訴訟中であっても、判決確定前であれば和解交渉は可能です。ただし、強制執行(差押え)が始まっている場合は別の対応が必要で、任意整理のみで解決するのは難しいことが多いです。弁護士が介入して和解で解決することは実務でよくあります。

5-4. 連帯保証人がいるときの影響と回避策

連帯保証人がいる場合は、任意整理が主債務者の解決だけに留まる可能性が高く、保証人に請求が及びます。回避策としては、以下を検討します。
- 保証人を守るために早期に弁護士を介入させ、全体の整理(個人再生や自己破産)を検討する
- 保証債務のある債務を優先順位に上げて対応する

5-5. よくある質問と要点ベスト回答

Q1:担保付きのローンは任意整理できませんか?
A:原則難しいですが、担保放棄や別の手段(個人再生、自己破産)を検討します。

Q2:税金滞納は任意整理できますか?
A:基本的には任意整理では解決しづらい。税務署との分納交渉や納税猶予を検討します。

Q3:任意整理で借金がゼロになりますか?
A:任意整理は原則「元本の減額」ではなく「利息カット+分割払い」で負担を軽減する方法です。全額免除は基本的に期待できません。

Q4:信用情報はどれくらいで戻りますか?
A:機関によるが一般に5年が目安。自己破産や個人再生の記録も数年残ります。

5-6. 実際に相談・申請を行った人の体験談(要素としての体験談)

体験談A:30代女性・フリーランス
複数のカードローンで月々の支払いが家計を圧迫。弁護士に任意整理を依頼し、利息カットと支払い期間延長で月の返済が半分に。信用情報は影響したが生活が立て直せた。

体験談B:40代自営業
住宅ローンと事業借入があり、担保が絡むため任意整理は難航。個人再生で住宅ローンはそのまま、他の債務が圧縮され再建に成功した。

これらは典型的なケースで、個々の事情で結果は異なりますが、早期相談で選択肢が広がる点は共通しています。

6. まとめ — 任意整理できないケースを正確に見極め、次の一手を選ぼう

任意整理が「できないケース」は、基本的に「担保付き債務」「税金・社会保険料」「訴訟・強制執行が進行している場合」「連帯保証人が影響する場合」「債務規模や収入で現実的な回収が見込めない場合」などに分類できます。任意整理は柔軟性が高い一方、すべてを解決する万能薬ではありません。重要なのはまず自分の債務を正確に把握し、どの債務が任意整理でカバーできるかを弁護士・司法書士に相談して見極めることです。

代替案(自己破産・個人再生・特定調停等)はそれぞれメリット・デメリットがあり、生活再建の方針によって選択が変わります。専門家への相談は早ければ早いほど有利です。督促や裁判書類を受け取ったら放置せず、まず相談窓口に連絡しましょう。この記事で示した準備リスト(借入先の一覧・収入証明・督促状等)を持って相談すれば、短期間で最適な戦略が立てられます。

最後に一言。借金問題は恥ずかしいことではありません。放置すると状況が悪化するだけです。まずは一歩踏み出して、専門家に状況を説明してみてください。あなたが選べる選択肢は必ずあります。

出典・参考(この記事の事実確認や数字は以下をもとにしています。詳しくは各リンクをご確認ください):
弁護士会 借金相談の全ガイド|費用・流れ・任意整理から自己破産まで丸ごと解説
- 法務省(個人再生、自己破産に関する解説)
- 日本弁護士連合会(債務整理の基礎)
- CIC(株式会社シー・アイ・シー) — 信用情報制度に関する説明
- JICC(株式会社日本信用情報機構) — 信用情報の登録期間等に関する説明
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC) — 銀行系信用情報に関する説明
- 国税庁/各自治体の税務課 — 納税猶予・分納に関する手続き
- 金融庁/消費者庁 — 消費者金融・貸金業に関する一般的ガイドライン

(注)本記事は情報提供を目的とした一般的な解説であり、個別の法的助言を行うものではありません。実際の判断・手続きは必ず弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。